2018年4月27日、Ubuntu 18.04 LTSがリリースされた。このバージョンは長期サポート版であり、2023年4月までアップデートおよびCanonicalによるエンタープライズサポートの支援を受けることができる。
Ubuntu 18.04 Desktopの方はブログ記事とかニュース記事が色々出ると思うので、ここでは主にUbuntu 18.04 Serverの方を取り上げる。なお、私の愚痴が所々あるかもしれない。適当に流していただければ幸いである。
Linux Kernel 4.15
Linux Kernel 4.15ベースになった。Ubuntu 18.04は5年サポートであり、2023年までGAカーネルはこのバージョンがベースになる。 ただ、Linux Kernel本家のKernel 4.15の開発はすでに終了している。前LTSバージョンであったUbuntu 16.04はLinux Kernelの長期サポート版であったLinux Kernel 4.4ベースであったが、先が思いやられる。
というわけで私は、16.04 LTSはサポート終了ギリギリまで使うと思います。
いくつか「再起動するとKernel Panicに陥る」系のバグが報告されているので、既存環境のアップグレードやセットアップは事前に確認が必要と思われる。
なんで素直にlongtermの4.14.xカーネルを採用しなかったんだろうか。 ちなみにカーネルとベースカーネルのバージョンは、引き続き次のコマンドで確認できる。
$ cat /proc/version_signature Ubuntu 4.15.0-20.21-generic 4.15.17
いくつかの問題は4.15.18で修正されているが、EOLなのには変わりはない。
デスクトップ版の主な変更
Ubuntu Desktopの標準のデスクトップ環境がGNOMEにもどった。詳細はここでは述べないが、Ubuntu 18.04 Desktopのインストーラーも刷新され、最小インストールモードが実装された。Ubuntuのデスクトップ環境とブラウザーがあればいい人に最適なセットアップメニューだと思われる。
Xサーバーが再び標準になった。Waylandについては次の20.04 LTSで標準化に向けて開発が行われるらしい。
また、Ubuntu Desktopでは32bit版の提供が行われなくなった。Ubuntuの別のフレーバーでは引き続き32bit版も提供されるので、あえて32bit版が必要であれば、Lubuntuなどを検討すると良い。
Server installerの変更
Ubuntu Serverのインストーラーが変更され、旧来のDebianインストーラーからオリジナルのものに変更になった。セットアップ中にバックグラウンドでインストールが行われるので、結果的にインストール時間を短縮できる。
このインストーラーは良い点が多いが、どうやらインストール時にインターネット接続が必須になった。これまではインターネット接続できない環境では最小セットアップができたが、そのような方法は取れなくなる。
ちなみに旧来のDebianインストーラーが良ければ、Minimal ISO(インターネット接続必須)や旧来のインストーラーが利用できる。
netplan.io
ネットワーク設定はnetplan.ioが採用された。使い方はnetplan.ioを参考に。設定例はexampleに書かれている。YAML形式で設定を記述し、「sudo netplan apply」コマンドで設定を適用する。コマンドを実行するとすぐ設定が反映されるので、リモートアクセスする時は注意。
ちなみに標準のUbuntu Server 18.04のインストーラーは、内部的にCloud-initが使われており起動毎にCloud-initの処理が走る。従って、次の設定ファイルにIPアドレスを記述すると良い。
- /etc/netplan/50-cloud-init.yaml
Minimal ISOを使ってインストールした場合は、17.10の頃と同じ設定ファイルにIPアドレスなど記述する。
- /etc/netplan/01-netcfg.yaml
設定ファイルのパスが異なるの、勘弁してほしい。
記述の仕方はどちらでも一緒。/etc/network/interfacesというファイルは残っているが、次のようなことが書かれているだけだ。
# ifupdown has been replaced by netplan(5) on this system. See # /etc/netplan for current configuration. # To re-enable ifupdown on this system, you can run: # sudo apt install ifupdown
ifupdownをインストールすれば、引き続き旧来の設定方法でIPアドレスの設定ができるようだ。 また、デスクトップ版のように、Network Managerを使うこともできる。
LXD 3.0
LXDのクラスタリング、NVIDIA GPUのパススルー、ポートリダイレクトなどをサポートした。 私的には2個目が注目のポイント。
QEMU 2.11.1/libvirt 4.0/Open vSwitch 2.9
KVM関連のバージョンがかなり上がった。 OVSも2.9が利用できるようになった。
MAAS
MAASは2.4がバンドルされた。ただしリリース初期はBeta版である。いずれ正式版が利用可能になる。 なお、snapコマンドを使ってMAASをインストールすることもできる。
Juju
Ubuntu 18.04向けのJujuはdebパッケージは用意されていない。snapパッケージをインストールする必要がある。
OpenStack Queens
Ubuntu 18.04はOpenStack Queensをサポートする。このバージョンはUbuntu 18.04のサポート期間終了まで5年間サポートが行われ、必要に応じてCanonicalのサポートを受けられる。
QueensではGPU対応の機能がいくつか機能追加されている。
Python
Python 2は2.7.15-rc1、Python3は3.6.5が提供される。デフォルトでPython 2はインストールされず、Python3はインストール済みになっている。Python2のパッケージはpythonである。
Go
Go言語は1.10がデフォルトで提供される。これ以降のバージョンについてはPPAで提供されると思われる。
OpenJDK
18.04リリースではOpenJDK 10がデフォルトのJRE/JDKになった。